「国分寺市の野鳥」

 国分寺市は、平成26年に市制施行50周年「未来へはばたく年」を記念して国分寺市の鳥として「カワセミ」を制定しました。カワセミは、市内にある都立武蔵国分寺公園の池・姿見の池・日立中央研究所構内の池などで一年中、高い頻度で見ることができます。カワセミ以外に、国分寺市内では50種類くらいの野鳥を観察できることにお気付きでしょうか?
 私が所属する国分寺バードウオッチングクラブ(KBWC,1987年創立,会員数75名)は、2003年より都立武蔵国分寺公園において毎月早朝に野鳥の定期観察を継続しており、また市内・日立中央研究所構内の野鳥観察も定期的に実施しております。この観察で得られたデータに基づき国分寺に生息する野鳥についてお話してみましょう。
 市内のあらゆる場所で常時観察される野鳥は、観察頻度順にならべると、ヒヨドリ,ハシブトガラス,キジバト,シジュウカラ,メジロ,ハクセキレイ,ハシボソガラス,スズメ,ムクドリ,オナガ,ツバメ(夏季)などです。また、武蔵国分寺公園・黒鐘公園・日立中央研究所・市内に残存する樹木が多い所では、コゲラ,エナガ,カワラヒワ,冬季にはツグミ,シメ,モズ,イカル,アオジなども比較的高い確率で観察でき、また、ヤマガラ,アオゲラ,カケス,ジョウビタキ(冬季),シロハラ(冬季),カシラダカ(冬季),キセキレイ,セグロセキレイなども運が良ければ遭遇することができます。 
武蔵国分寺公園・姿見の池・中央研究所内池などの水場では、常時カルガモがおり、マガモ,カワセミ,カイツブリ,コサギ,上空には多摩川あたりから飛来するカワウの姿も確認でき、夏場には、市内の随所でカッコウの声を聞くこともできます。市民プールそばのエックス山、中央研究所構内、史跡通りなどでは肉食系猛禽類のツミを観察でき、上空にはオオタカの姿も垣間見ることができます。ダイサギなども見る機会も高く、姿見の池ではオシドリ・クイナが観察されたこともあります。

(写真:カルガモとオシドリ(姿見の池)2015.12)
 観察記録をたどってみると、国分寺市内の野鳥の種類は減少していませんが、宅地化で林・畑などが減少している影響か、野鳥の観察される頻度と数量は、毎年漸少の傾向にあることがうかがえます。
 野鳥の細かな羽色・雌雄の区別などを観察するには、20~40倍のフィールドスコープが必要となりますが、姿・種類を判別し野鳥の美しさ・かわいらしさを楽しむなら、倍率8倍程度の双眼鏡でも充分です。
 都内でもいまだ武蔵野の面影が残存し、数多くの野鳥が観察できる国分寺の地で、野鳥観察を体験されたらいかがでしょうか? 心豊かなひと時と新たな美の世界が広がるはずです。
(S43年理工学部卒、国分寺稲門会副会長、国分寺バードウオッチングクラブ代表幹事 中山斌雄)

関連サイト:国分寺バードウオッチングクラブ(KBWC)ホームページ
写真集:国分寺市内で観察される主な野鳥の写真