俳句同好会(国分寺句会)の6月例会が開催されました。

俳句同好会(国分寺句会)の6月例会が開催されました。

俳句同好会(国分寺句会)6月例会が6月22日午後1時半より4時半まで本多公民館会議室2において開催されました。

当日、小雨の中を参集したのは以下の11名。欠席選句の3名を含めて14名参加の賑やかな句会となりました。

出席者氏名;安齋篤史(俳号 安西 篤・講師)、赤池秀夫、内田博司、押山うた子、梶原由紀、佐竹茂市郎、清水 元(星人)、眞宅康博(泉舟)、

野部明敬、森尾秀喜(ひでかず)、吉松峰夫(舞九)以上11名
欠席選句;千原一延(延居)、中村憲一、藤木ひろみ 以上3名
欠席;舘 外博(爽風)

講師選評 安西 篤 
【特選】
父の日の息子の嫁の電話かな 中村 憲一
 父の日に、遠く離れ暮らす息子の嫁から、必ず様子を尋ねる電話を貰う。その心遣いをいつも嬉しく有難く感じている。善き嫁を得た息子の幸福感を、父の日にしみじみと思う。これも幸せな老後の幸福感の一つ。この父は、或いはすでに妻たる母を亡くしているのかもしれない。余生に残る幸福感を大切に思う心境が見えてくる。

【並選】
(一位)
父の日や病む妻笑顔のプレゼント 千原 延居
 父の日の当日、父の妻たる母は病床にあって、父になにもしてやれない思いを抱え、せめて精一杯の笑顔をプレゼントする。父にとっては何よりのプレゼントで、早く治ってくれれば、それ以上のプレゼントはないとの思いを込めている。

(二位)
父の日や娘を背なに走った日  清水 星人
 父の日に成人した娘から、心を込めたプレゼントを貰った。そういえば、娘の幼き日、深夜急に熱を出し、その娘を背負って医者に駆けこんだことを思い出す。あの頃の娘が、よくぞここまで成長してくれたものよとの思い。

(三位)
手酌酒普段通りの父の日よ  赤池 秀夫
 父の日と言っても、母の日とは違い、ことさらな祝い事はないのが普通。父たる吾は、せいぜいいつも通りの手酌酒を独り酌んでいる。とはいえさびしさよりも、普段通りの無事の日を迎えた安堵感が先立つ。

(四位)
父の日や父思い出す煙草盆  内田 博司
 父の日に、父が愛用した煙草盆取り出して、亡き父を偲んでいる。父への回想を父の手触り感の籠る煙草盆にふれてみる。そこに父との膚接感を思い出しながら。

(五位)
病床の父の日の背掻きにけり 森尾ひでかず
 これも亡き父への回想だろう。病床にあった父から、背を掻いてくれといわれて、掻いてやった日のことを想い出す。父の背の温もり、肌ざわりに在りし日の父が甦る。今、自分にもあの頃の背の痒さを覚えながら。

(六位)
祝われぬ父の日暮れてまた一献  眞宅 泉舟
 母の日と異なり、父の日となると誰も祝ってはくれない。仕方なく屋台の独酌で、独り祝うでもなく、まあいいかとばかり飲んでいる。そんな時の酒は、一杯いっぱいもう一杯とばかり、意外に深くなるものだ。

(七位)
父の日や寡黙な父が礼を言ふ  佐竹茂市郎
 父の日に、ふと思いついて、祝いのささやかな夕食を家族で共にする。日頃、寡黙な父が、珍しく皆に礼を言った。本当は淋しかったに違いない。言葉少なの挨拶だったが、今思えば心に染みるものがあった。

(八位)
父の日の父の写真は若きまま  吉松 舞九
 亡き父の思い出の写真だろう。晩年のものはほとんどなくて、若き日の写真だけが残っている。それはいつまでも、若き日のままの父像として胸に刻まれる。なんとそこに、若き日の自分の姿があった。

(九位)
父の日や家庭麻雀賑ふて  野部 明敬
 これも父の日の思い出の句。父在りし日、よく家庭麻雀をやつたなあと思う。あの時の上機嫌な父と一家団欒の温もりが、今も思い出される。

(十位)
父の日や父の膝恋う老いし今   押山うた子
 父の日に、亡き父がよく幼い頃の自分を膝の上に乗せて、あやしたり、お話を聴かせたりしてくれたりしたことを思い出す。そういえば自分はお父さんっ子だった。あの時の父の膝は、私にとっての楽しい小宇宙だつた。老いた今にして、あの頃の父の膝がたまらなく恋しい。

【講師よりの一言】
 今回の兼題作は、いずれも実感が籠っていて、順位をつけ難かった。どれも甲たり難く、乙たり難い作であったと思っている。やはり生活実感の迫力ならではもの。

6月句会 高点句
(同点の場合は順不同)
最高得点句・七点
父の日や病む妻笑顔のプレゼント 千原 延居
その他の高点句・六点
父の日や寡黙な父が礼を言ふ    佐竹茂市郎
父の日や父想い出す煙草盆     内田 博司
父の日や戯れ描く父の皺 森尾ひでかず
父の日や今朝も変わらぬ菜っ葉汁  眞宅 泉舟
初鰹いつしか戻る国訛り      吉松 舞九
枇杷熟るる南海トラフ眠る浜    吉松 舞九
その他の高点句・五点~四点
父の日の息子の嫁の電話かな    中村 憲一
父の日や娘を背なに走った日    清水 星人
祝われぬ父の日暮れてまた一献   眞宅 泉舟
手酌酒普段通りの父の日よ     赤池 秀夫
父の日や語らぬままの父恋し    内田 博司
病床の父の日の背掻きにけり    森尾ひでかず
夕焼けの影絵の中に父がいて    安齋  篤
父の日や贋端渓を洗い干す     赤池 秀夫
(以下 略)

来月以降の予定

7月句会(通信句会) 
投句締切: 7月10日(水) 投句数:3句

8月句会(対面句会)
日時: 8月24日(土)午後1時30分~4時30分
句会場: 本多公民館 会議室2 

以上 

俳句で楽しむ自粛生活 (国分寺句会「テレワーク句会」活動報告)

俳句で楽しむ自粛生活
(国分寺句会「テレワーク句会」活動報告)

初日の出 光冠(コロナ)真浴びに 受け止めて   安西 篤

国分寺稲門会の俳句同好会「国分寺句会」は発足して七回目の新年を迎えました。
上記の句は、今年の新年句会に出された講師の安西 篤先生の作品です。昨年末以来、東京都の新型コロナ感染者数は日に日に増え続け、新年早々、二度目の緊急事態宣言が出されるという落ち着かない年末年始でした。
「コロナ」は今や「新型コロナウイルス(COVID-19)」の代名詞となりつつありますが、本来は日食の時に肉眼で見ることができる太陽の光冠のことで、「冠」を意味するラテン語が語源です。安西先生の句には、今や世界に猛威を振るうコロナ禍に立ち向かう決意がこめられているように受け取れないでしょうか。

「国分寺句会」は、国分寺稲門会の同好会の中でも比較的新しく、平成26年11月に発足しました。コロナ禍で活動を控えざるをえない同好会が大部分を占める国分寺稲門会のなかで、パソコンやファックスなどを使った在宅通信句会の形式で毎月欠かさず句会を開いて活動を続けております。名付けて「テレワーク句会」始まったのが昨年3月でしたので、今年の2月句会で丁度1年になります。
講師の安西 篤先生には、国分寺稲門会のご縁で昨年5月からご指導をいただいております。テレワーク句会が始まっておりましたので、句会で直接ご指導を受ける機会がまだないのは残念なことです。
安西先生は、平成30年に亡くなられた金子兜太先生のあとを引き継いで、現在、結社「海原(かいげん)」主宰として多忙極まる毎日にもかかわらず、毎月テレワーク句会のために懇切な選評を寄せてくださっております。
会員からは「先生の温かい選評を楽しみに今後も投句を続けさせていただきます」「先生の選評を拝読すると、映像を見ているかのように情景が浮かび、自分では読み解けなかった部分に気付かされることが多い」などの感謝の言葉が寄せられています。
「テレワーク句会では、句会でのやり取りが活字で表現されるので、自粛生活の有り余る時間を使ってじっくりと皆さんの句を選んだり、先生の講評、会員の選評を拝見して俳句の深みを知ることができる。これはテレワーク句会のプラスの部分ではないだろうか」というご意見もありました。まさにその通りではないかと思います。

現在「テレワーク句会」は次のようなスケジュールで行なわれています。
毎月  1日  句会の案内 (当月のお題が知らされます)
   10日  投句締切 (一人3句をパソコンやファックスで幹事に送付)
   12日  投句一覧表の送付(作者名を伏せた一覧表が幹事から送られてくる)
   20日  選句締切 (特選1句 並選4句を選んで幹事に送る。
              特選には各人の選評をつける。
              講師は特選1句 並選6句で、全選句に選評をつける)
   22日  選句結果一覧表と講師・会員の選評一覧表の送付
              (作品ごとの得点表示)

毎月同じことの繰り返しですので、そのうちに飽きが来るのではないかと思われるかもしれませんが、例えば春の場合、2月―初春、3月-仲春、4月-晩春と季節が移り、咲く花も、2月―梅、3月-桃、4月-桜、と変わってきて、季節の変化を追うのに忙しく、退屈する暇もありません。
では、昨年秋・冬のテレワーク句会の作品から「一人一句」をご紹介いたします。

国分寺句会 近詠一人一句 (平成2年 秋・冬の部)

雑炊をすすり非戦を胸深く       黒川 清虚(国分寺)
水郷の街の句碑読む冬隣        赤池 秀夫(国分寺)
湯豆腐や人恋しさとぐいのみと     内田 博司(国分寺)
母在りし遠き昭和の湯婆(たんぽ)かな  清水 星人(国分寺)
暮の秋母の背中の丸みたる       眞宅 泉舟(国分寺)
神の旅御籤に吉の少し増え       舘  爽風(国分寺)
妻癒えぬはや秋茄子の味噌いため   千原 延居(国分寺)
コロナ禍の地球咽せるや冬隣      野部 明敬(国分寺)
真砂女似の女将(おかみ)の捌く寒鮃   吉松 舞九(国分寺)
鏡面に塵なき朝や冬隣         梶原 由紀(国分寺)
混沌はそのままにして小春空      大畠 薫 (清瀬)
染みのある句帳の古び冬隣       押山うた子(武蔵村山)
湯婆(ゆたんぽ)の温もり探す足四本   佐竹茂市郎(立川)
冬の日の憑かれたように手を洗う    中村 憲一(練馬)
樽柿の張りつめし皮朱に満ちて     藤木ひろみ(中野)

◆講師
憂国忌皇帝ダリア首もたげ       安西  篤(国分寺)

                    (吉松峰夫 記)


 

国分寺句会新年会 (2018年1月20日(土))

1月20日(土)今年の初句会が12時半から本多公民館で開かれました。
本句会が第一回の句会を開いたのは平成26年の11月。今回は4度目の新年となりました。
穏やかな冬晴の当日、集まった句友は講師の細見逍子先生を含めて13名、欠席投句が1名、合計14名と盛況。

 投句は例月通り1人3句ですが、初句会の特例として、選句は7句(講師の選句は10句)の大盤振る舞い。机の上には正月とあって、公民館一階の食堂特製の幕の内弁当、会員有志の差し入れの飲み物が並ぶ。幹事長の黒川清虚さんの音頭で、この一年の健吟を祈って乾杯。
食事のあとは、いつも通り投句・選句・講評と進み、高点句にはお年玉の天・地・人各賞が細見先生から授与されました。この日の高点句と作者は下記の通り。

天賞       島影の濃くなりゆきぬ初茜    千原 延居 (国分寺)
地賞   日溜りを独り占めして初電車    吉松 舞九 (国分寺)
人賞       去年今年八十路の瀬戸の無分別   野部 明敬 (国分寺) 

当日参加の皆さんそれぞれの高点句を一人一句として下にまとめました。

                  (吉松舞九・記)

新年句会一人一句 (天・地・人受賞者については本文参照)

悪しきこと良きことも捨つ古日記    黒川 清虚 (国分寺)  

獺祭を論じ一瓶大旦                  中村 憲一 (豊島)

いつになく多弁な友や暖炉燃ゆ      舘   爽風 (国分寺)

初東風や五臓六腑に陽をもらふ      梶原 由紀 (国分寺)

老体の心身に添ふ小豆粥             押山うた子 (武蔵村山)

七福神年々増ゆる願ひ事             佐竹茂市郎 (立川)

風花やたんの太助の城下町           内田 博司 (国分寺)

子等帰る名残りの重箱四日かな      大畠  薫  (清瀬)

増上寺鐘鳴り渡る初詣               藤木ひろみ (中野)

爺(ぢぢ)と呼ぶ愛しき寝息除夜の鐘  清水 星人 (国分寺)

神主の嬰(やや)のやは肌初ゑくぼ     細見 逍子 (清瀬)

 

国分寺句会 初句会 (2016年1月16日)

1月16日(土)今年の初句会が12時半から本多公民館で開かれました。
本句会が第一回の句会を開いたのは一昨年の11月。今回は二度目の新年となりました。
出席は、講師の細見逍子先生を含めて12名、欠席投句が2名、合計14名と盛況。

現在中国・安徽省合肥に長期出張中の赤池秀夫前幹事は、正月休みで一時帰国中でしたが、仕事の都合で句会当日の空の便で出発。 久々の句会出席が叶わなかったのは残念でした。
 初句会の特例で投句は3句、選句は5句。講師の講評もなく、皆さんリラックスの様子。
机の上には正月とあって、公民館一階の食堂特製の幕の内弁当がならぶ。
幹事長の黒川清虚さんの開会の言葉、細見先生の年頭のご挨拶のあとビールで乾杯。
この一年の健吟を祈って乾杯の音頭を取るのは最年長の千原延居さん。

食事のあとは、いつも通り投句・選句と進み、高点句にはお年玉の天・地・人各賞が細見先生から授与されました。この日の高点句と作者は下記の通り。

天賞     幸せは小さきこそ良し福寿草   舘 爽風(国分寺)
地賞      初神楽聞こゆる空や男坂     吉松舞九(国分寺)
人賞      初春や清正井(きよまさいど)の滾々(こんこん)と       中村憲一(豊島) 
人賞     もみじの手しかと合はせし初詣     黒川清虚(国分寺)
人賞     夕映えに稜線あをき初秩父     大畠 薫(清瀬) 
句会の最後に、参加者全員の自薦一句を選びお開きとなりました。

一人一句についてはこちらをご覧ください。
                                        (吉松舞九・記)