2025年3月国分寺句会

俳句同好会(国分寺句会)3月例会(第120回)

俳句同好会(国分寺句会)の2025年3月例会が3月23日(日)13時30分から対面句会方式で開催されました。今年になって二度目の対面句会を、安西先生始め8名の方のご参集をいただき、通信句会方式で選句・選評をお寄せいただいた7名の方を含め、全員15名による賑やかな句会となりました。

出席者氏名;安齋篤史(俳号 安西 篤・講師)、赤池秀夫、内田博司、梶原由紀、清水元(星人)、眞宅康博(泉舟)、野部明敬、吉松峰夫(舞九) 以上8名

欠席投句: 押山うた子、佐竹茂市郎、舘外博(爽風)、千原一延(延居)、中村憲一、藤木ひろみ、森尾秀基(ひでかず) 以上7名 

投句数:3句  兼題:「卒業」「三月」(いずれも傍題含む)

講師選評 安西 篤(俳句結社「海原 KAIGEN」主宰)

2025月 国分寺句会講師選評 

【特選】

風弥生共に闘ふ友逝けり       舘 爽風

 弥生三月の風の中、同じ病に悩む友と互いに励まし合いながら闘病を続けてきたのだが、その友が突然先に亡くなった。「そんなバカな…」と絶句する。あんなに一緒に頑張ろうと誓い合ったじゃないかと、思わず抗議したくなるような腹立だしさを覚える。上五「風弥生」の簡潔さが、「友逝けり」の下五の情感に強く響き合う。これが「弥生の風」となると、かえって心情が締まらない。悲痛な心情が胸を締め付ける句となった。

【並選】

(一位)

四温かな今宵ぬる燗舌の先    森尾ひでかず

 三寒四温の四温の時期。三寒の間なら熱燗に限るはずだが、四温となれば「ぬる燗」もまた良しの受け取り方になるのだろうか。その味わいぶりを「舌の先」で試してみる。さて今宵は四温だし、燗酒の熱さ加減を、舌の先でじつくり堪能しようという、上戸ならではの味わいぶり。

(二位)

雪に雪積もりて一村沈めけり    清水 星人

 今年の豪雪地帯を思いやっている句。雪の上に雪が降り積もって、一つの村を雪の底に沈めたという。テレビで見た積雪の丈は優に2メートルを越えていた。分厚い屋根の雪の嵩も、家を押しつぶさんばかり。中七下五にかけての嘆声の響きが伝わる。

(三位)

大らかに弥生の雪は紅梅に     押山うた子

 春弥生に降り積もる雪は、水分を含んだボツテリ感の牡丹雪もあれば、すぐ消えやすい淡雪もある。そんな弥生の雪が、咲き始めたばかりの紅梅の花びらに、ちょこんとかぶさることがある。そこを「大らかに」と捉えて、雪と紅梅のコラボした彩りを、一場のゆったりとした景として演出しているところがいい。

(四位)

水の鳴る林に入りて弥生かな    野部 明敬  

 「水の鳴る林」とは、林の中の小川の氷や木に凍てついた細氷が解けて、水の流れを作り出す音ではないか。その水音は、弥生の陽気に誘われるように生れ出たものに違いない。そこから「弥生」の世界が始まると見たのが、下五のきれであろう。

(五位)

わらび餅妻の笑顔が運びくる    赤池 秀夫

 わらび餅は立春を目安に作り始められる餅で、きな粉と黒蜜をかけて食べる。この季節の味、妻が笑顔で運んでくるという。家族の好物と知っていて、皆の喜ぶ顔を予期しているからだろう。家族の歓声が聞こえてくるような一瞬が捉えられている。

(六位)

雛の膳猪口一杯の銘選ぶ      千原 延居

 雛祭りの日の家族のお膳で、雛壇にも猪口一杯のお酒を供える。その酒の銘柄選びとなれば、これは亭主ならではの役どころだろう。本人自身「任せておけ」とばかり、すぐさましやしやり出るのが目に見えるようだ。

(七位)

三月のたぬきケーキのおちよぼ口  梶原 由紀

 「たぬきケーキ」とはどういうものか知らないが、想像はつく。ふっくらした蒸しパンの真ん中に、狸の臍のような「おちよぼ口」を予想した。三月の季節感に新入生の喜びそうなイメージが見えてくる。

(八位)

入社着の背広で孫は卒業す     中村 憲一

 「入社着の背広」とは、すでに就職内定している孫が、入社用に新調した背広。それを着て卒業式にも出たのだろう。先生や同級生たちの注目も意識しながらの背広に、孫の誇りも感じられて頼もしい爺様ぶり。

(九位)

亡妻のひな飾り終えあられ買う   内田 博司

 亡妻が生前に買っておいたひな人形を、まつたくそのままに飾り付け、新たにお供え用のあられを買ったという。亡妻を偲ぶよすがを、ささやかな雛飾りに見出している。あられは亡妻の分まで頂こうとしているに違いない。

(十位)

師の涙変声混じる卒業歌      眞宅 泉舟

 卒業式で、生徒たちが歌う卒業歌に、変声期に入った声が混じっていた。その声変りの歌声を聞いた師が、生徒の成長の姿を感じて、思わず涙したという。育ちゆく生徒の巣立ちの感動を、いつものことながら感じずにはいられなかつたに違いない。                            

◆講師(安西 篤)詠 3句

花冷えのケータイの鳴る予感かな

朧の夜ちょっと立ち寄る屋台かな

数えずに生きる日々あり弥生尽

2025年3月 国分寺句会高得点句 (同点の場合は番号順)

★最高得点句・九点

聞き漏らすこと多くなり春の声         うた子   

★その他の高点句・七点句

わらび餅妻の笑顔が運びくる             秀夫

六点句

風弥生共に闘ふ友逝けり                   爽風       

亡妻のひな飾り終えあられ買う         博司       

師の涙変声交じる卒業歌                   泉舟       

思い出が捨離の邪魔する弥生尽        泉舟       

五点句

三月のたぬきケーキのおちょぼ口    由紀       

三月のふくらみ競う蕾かな                舞九       

雛の膳猪口一杯の銘選ぶ                   延居       

水の鳴る林に入りて弥生かな             明敬       

梵鐘の響きを包む春のゆき               ひろみ

数えずに生きる日々あり弥生尽         篤            

脚一本足して遠出の春の土手             舞九       

◆4月以降の予定

★4月句会は通信句会となります。

 兼題:「花(桜)一切」

 投句締切:4月10日(木)

★5月句会は対面句会となります。

 日時:5月25日(日)13時30分~16時30分

 会場:本多公民館 会議室2

以 上