俳句で楽しむ自粛生活 (国分寺句会「テレワーク句会」活動報告)

俳句で楽しむ自粛生活
(国分寺句会「テレワーク句会」活動報告)

初日の出 光冠(コロナ)真浴びに 受け止めて   安西 篤

国分寺稲門会の俳句同好会「国分寺句会」は発足して七回目の新年を迎えました。
上記の句は、今年の新年句会に出された講師の安西 篤先生の作品です。昨年末以来、東京都の新型コロナ感染者数は日に日に増え続け、新年早々、二度目の緊急事態宣言が出されるという落ち着かない年末年始でした。
「コロナ」は今や「新型コロナウイルス(COVID-19)」の代名詞となりつつありますが、本来は日食の時に肉眼で見ることができる太陽の光冠のことで、「冠」を意味するラテン語が語源です。安西先生の句には、今や世界に猛威を振るうコロナ禍に立ち向かう決意がこめられているように受け取れないでしょうか。

「国分寺句会」は、国分寺稲門会の同好会の中でも比較的新しく、平成26年11月に発足しました。コロナ禍で活動を控えざるをえない同好会が大部分を占める国分寺稲門会のなかで、パソコンやファックスなどを使った在宅通信句会の形式で毎月欠かさず句会を開いて活動を続けております。名付けて「テレワーク句会」始まったのが昨年3月でしたので、今年の2月句会で丁度1年になります。
講師の安西 篤先生には、国分寺稲門会のご縁で昨年5月からご指導をいただいております。テレワーク句会が始まっておりましたので、句会で直接ご指導を受ける機会がまだないのは残念なことです。
安西先生は、平成30年に亡くなられた金子兜太先生のあとを引き継いで、現在、結社「海原(かいげん)」主宰として多忙極まる毎日にもかかわらず、毎月テレワーク句会のために懇切な選評を寄せてくださっております。
会員からは「先生の温かい選評を楽しみに今後も投句を続けさせていただきます」「先生の選評を拝読すると、映像を見ているかのように情景が浮かび、自分では読み解けなかった部分に気付かされることが多い」などの感謝の言葉が寄せられています。
「テレワーク句会では、句会でのやり取りが活字で表現されるので、自粛生活の有り余る時間を使ってじっくりと皆さんの句を選んだり、先生の講評、会員の選評を拝見して俳句の深みを知ることができる。これはテレワーク句会のプラスの部分ではないだろうか」というご意見もありました。まさにその通りではないかと思います。

現在「テレワーク句会」は次のようなスケジュールで行なわれています。
毎月  1日  句会の案内 (当月のお題が知らされます)
   10日  投句締切 (一人3句をパソコンやファックスで幹事に送付)
   12日  投句一覧表の送付(作者名を伏せた一覧表が幹事から送られてくる)
   20日  選句締切 (特選1句 並選4句を選んで幹事に送る。
              特選には各人の選評をつける。
              講師は特選1句 並選6句で、全選句に選評をつける)
   22日  選句結果一覧表と講師・会員の選評一覧表の送付
              (作品ごとの得点表示)

毎月同じことの繰り返しですので、そのうちに飽きが来るのではないかと思われるかもしれませんが、例えば春の場合、2月―初春、3月-仲春、4月-晩春と季節が移り、咲く花も、2月―梅、3月-桃、4月-桜、と変わってきて、季節の変化を追うのに忙しく、退屈する暇もありません。
では、昨年秋・冬のテレワーク句会の作品から「一人一句」をご紹介いたします。

国分寺句会 近詠一人一句 (平成2年 秋・冬の部)

雑炊をすすり非戦を胸深く       黒川 清虚(国分寺)
水郷の街の句碑読む冬隣        赤池 秀夫(国分寺)
湯豆腐や人恋しさとぐいのみと     内田 博司(国分寺)
母在りし遠き昭和の湯婆(たんぽ)かな  清水 星人(国分寺)
暮の秋母の背中の丸みたる       眞宅 泉舟(国分寺)
神の旅御籤に吉の少し増え       舘  爽風(国分寺)
妻癒えぬはや秋茄子の味噌いため   千原 延居(国分寺)
コロナ禍の地球咽せるや冬隣      野部 明敬(国分寺)
真砂女似の女将(おかみ)の捌く寒鮃   吉松 舞九(国分寺)
鏡面に塵なき朝や冬隣         梶原 由紀(国分寺)
混沌はそのままにして小春空      大畠 薫 (清瀬)
染みのある句帳の古び冬隣       押山うた子(武蔵村山)
湯婆(ゆたんぽ)の温もり探す足四本   佐竹茂市郎(立川)
冬の日の憑かれたように手を洗う    中村 憲一(練馬)
樽柿の張りつめし皮朱に満ちて     藤木ひろみ(中野)

◆講師
憂国忌皇帝ダリア首もたげ       安西  篤(国分寺)

                    (吉松峰夫 記)


 

国分寺句会新年会 (2018年1月20日(土))

1月20日(土)今年の初句会が12時半から本多公民館で開かれました。
本句会が第一回の句会を開いたのは平成26年の11月。今回は4度目の新年となりました。
穏やかな冬晴の当日、集まった句友は講師の細見逍子先生を含めて13名、欠席投句が1名、合計14名と盛況。

 投句は例月通り1人3句ですが、初句会の特例として、選句は7句(講師の選句は10句)の大盤振る舞い。机の上には正月とあって、公民館一階の食堂特製の幕の内弁当、会員有志の差し入れの飲み物が並ぶ。幹事長の黒川清虚さんの音頭で、この一年の健吟を祈って乾杯。
食事のあとは、いつも通り投句・選句・講評と進み、高点句にはお年玉の天・地・人各賞が細見先生から授与されました。この日の高点句と作者は下記の通り。

天賞       島影の濃くなりゆきぬ初茜    千原 延居 (国分寺)
地賞   日溜りを独り占めして初電車    吉松 舞九 (国分寺)
人賞       去年今年八十路の瀬戸の無分別   野部 明敬 (国分寺) 

当日参加の皆さんそれぞれの高点句を一人一句として下にまとめました。

                  (吉松舞九・記)

新年句会一人一句 (天・地・人受賞者については本文参照)

悪しきこと良きことも捨つ古日記    黒川 清虚 (国分寺)  

獺祭を論じ一瓶大旦                  中村 憲一 (豊島)

いつになく多弁な友や暖炉燃ゆ      舘   爽風 (国分寺)

初東風や五臓六腑に陽をもらふ      梶原 由紀 (国分寺)

老体の心身に添ふ小豆粥             押山うた子 (武蔵村山)

七福神年々増ゆる願ひ事             佐竹茂市郎 (立川)

風花やたんの太助の城下町           内田 博司 (国分寺)

子等帰る名残りの重箱四日かな      大畠  薫  (清瀬)

増上寺鐘鳴り渡る初詣               藤木ひろみ (中野)

爺(ぢぢ)と呼ぶ愛しき寝息除夜の鐘  清水 星人 (国分寺)

神主の嬰(やや)のやは肌初ゑくぼ     細見 逍子 (清瀬)

 

国分寺句会 初句会 (2016年1月16日)

1月16日(土)今年の初句会が12時半から本多公民館で開かれました。
本句会が第一回の句会を開いたのは一昨年の11月。今回は二度目の新年となりました。
出席は、講師の細見逍子先生を含めて12名、欠席投句が2名、合計14名と盛況。

現在中国・安徽省合肥に長期出張中の赤池秀夫前幹事は、正月休みで一時帰国中でしたが、仕事の都合で句会当日の空の便で出発。 久々の句会出席が叶わなかったのは残念でした。
 初句会の特例で投句は3句、選句は5句。講師の講評もなく、皆さんリラックスの様子。
机の上には正月とあって、公民館一階の食堂特製の幕の内弁当がならぶ。
幹事長の黒川清虚さんの開会の言葉、細見先生の年頭のご挨拶のあとビールで乾杯。
この一年の健吟を祈って乾杯の音頭を取るのは最年長の千原延居さん。

食事のあとは、いつも通り投句・選句と進み、高点句にはお年玉の天・地・人各賞が細見先生から授与されました。この日の高点句と作者は下記の通り。

天賞     幸せは小さきこそ良し福寿草   舘 爽風(国分寺)
地賞      初神楽聞こゆる空や男坂     吉松舞九(国分寺)
人賞      初春や清正井(きよまさいど)の滾々(こんこん)と       中村憲一(豊島) 
人賞     もみじの手しかと合はせし初詣     黒川清虚(国分寺)
人賞     夕映えに稜線あをき初秩父     大畠 薫(清瀬) 
句会の最後に、参加者全員の自薦一句を選びお開きとなりました。

一人一句についてはこちらをご覧ください。
                                        (吉松舞九・記)